- 作品の見どころ3つ
『めでたしめでたし……』のその後を描く
家ごとにセンスの分かれる美しい衣装
多様性が生むドラマ - あらすじ、登場人物
- 現在の配信状況、視聴方法
Netflixオリジナルドラマ『ブリジャートン家』。配信開始28日目には8200万世帯が視聴し、Netflix史上最も視聴されたオリジナルシリーズとなりました。
そして公開から1ヶ月経たずにシーズン2の制作が発表、さらにシーズン4までの更新も決定しました。
今作の特徴はシーズンごとに主人公が変わることです。シーズン1ではダフネとサイモンの恋が描かれ、それは全8話で完結します。
今回は、まだこのドラマを観たことがない方のために作品の見どころを解説しつつ、基本情報もしっかりご紹介していきます。
事前に知っておくことでよりドラマを楽しめる内容になっています。(作品への期待感を高める程度におさえていますが、多少ネタバレもありますのでご注意ください)。
シーズン2の情報、『不機嫌な子爵のみる夢は』の先取りネタバレ解説を読みたい方はこちらへどうぞ。
あらすじ
19世紀ロンドン。ハチに刺されて亡くなったブリジャートン子爵には8人の子どもがいました。いずれも美男美女です。
その年、長女ダフネは女王陛下から「完ぺき」と評され、誰もがダフネの明るい未来を確信しました。
しかしいざ社交会へデビューしてみると、思わぬ邪魔者がいたのです。
長男のアンソニーは妹を心配するあまり全ての男を追い返してしまいます。
「このままでは結婚できない」と焦るダフネ。
なんとしても結婚したいダフネの前に、「絶対に結婚したくない」サイモン(ヘイスティングス公爵)が現れます。彼はアンソニーの親友であり、「社交会が選ぶ結婚したい男No.1」でもありました。
サイモンとダフネは秘密の取り決めを交わします。
「互いに夢中な恋人同士のふりをする」
そうすることでダフネは結婚相手を見つけ、サイモンは結婚せずにすむように。
ですがその取り決めは思いもよらない波乱を呼ぶことになりました……。
王族、貴族、上流階級の人々の交流の場。
見どころ解説
めでたしめでたし……のその後を描く大人のロマンス
『ブリジャートン家』は19世紀のロンドンを舞台にした王道の恋愛ドラマです。
ダフネは19世紀の令嬢らしく「結婚して幸せな家庭を築きたい」と思って社交界デビューしましたが、なに一つ予定通りには進みません。
ダフネとサイモンが交わす「恋人のふりをする」という密約にはじまって、「ダフネ、サイモン、フリードリヒ王子」の三角関係、サイモンの結婚拒否事件……。
恋人のふりをはじめたダフネとサイモンは、互いに割り切った協力関係にすぎないふりをしながら惹かれ合っていきます。
ですがサイモンには「結婚できない」理由があり、何年も癒えないままの傷も抱えていました。
ダフネにはそれを知るすべがないので2人はすれ違いをくり返します。
そんな2人の結婚は、「結婚しよう」「YES」とはいきませんでした。騒動(そうどう)の末に結婚せざるを得なくなり、夫婦になります。
なので結婚してもすぐには「本物の夫婦」とはなれないのです。互いに傷つけあったり、嘘をついていたり、それが暴かれたり、同じ屋根の下で顔も合わせない冷戦状態が続いたり……。
このドラマは「結婚後」が重要です。
前半は「恋愛ドラマ」ですが、後半からは「ダフネの成長」「サイモンの成長」「夫婦の道のり」になっていく、まさに大人向けの作品でした。
美しい衣装
女性たちは1日に何度も着替え、舞踏会ごとに新しいドレスを着ます。
可愛いパステルカラーが多く、芸術的な刺繍(ししゅう)がほどこされ、パフスリーブ(ふくらんだ袖)やたっぷりのフリルとリボンがついたドレスと、たくさんのジュエリー。
ダフネはもちろんエロイーズ、ヴァイオレットの衣装もステキです。
おもしろいのは、家ごとに衣装のセンスが変わることです。
ブリジャートン家のお向かいさんであるフェザリントン家には3人の娘と親戚の女性が1人います。彼女たちの衣装の色合いは明るいグリーンやイエロー、オレンジ。
ブリジャートン家はブルーベースのパステルカラーが目立ちました。
舞踏会やお茶会はオードリー・ヘプバーンの『マイ・フェア・レディ』のように豪華なシーンで、眺めているだけでも楽しめます。
ちなみに舞台セットもロンドンに実在する美術館や宮殿を利用しているので背景も華やかで豪華に仕上がっています。
言語学者のヒギンズ教授が下品な言葉遣いをする花売り娘のイライザ(オードリー・ヘプバーン)を「レディ」にすることができるかどうか、ピカリング大佐と賭けをする。
1964年公開のロマンティック・コメディ映画。現在(2021年9月)Netflixで配信中。
多様性が生むドラマ
結婚し、子どもを産んで幸せな家庭を築きたいと思っているダフネと、結婚せず自立した女性として生きていきたいと望んでいるエロイーズ。
2人は互いの望みを否定し合うこともありますが、それでも仲のいい姉妹です。
エロイーズはこの時代から見ればかなり進歩的な女性です。ですが現代においても女性がみんなエロイーズのように生きたいと考えているわけではありません。
ダフネとエロイーズという対照的で魅力的な2人の女性像は、現代の女性に「選択肢」があることを再確認させてくれるものでした。
ちなみに次男は画家、三男は旅人志望で、長男はオペラ歌手との駆け落ちを計画してしまいます。
また、起用(きよう)されている俳優の人種も多様なものでした。
この時代、異人種間の恋愛、結婚は許されていませんでしたが、ドラマの中ではさまざまなルーツを持つ人々が貴族の称号を得ていて、恋愛したり、対等に皮肉を言い合ったりしています。
これは歴史ドラマではなく、歴史を背景にしたファンタジーです。
この作品では問題について議論することなく、とても自然な形で多様性を表現しているのが新鮮でした。
基本情報
- 制作:Netflix
- 原題::Bridgerton
- 原作:ジュリア・クインの「Bridgerton series(ブリジャートンシリーズ)」
- 配信開始:2020年12月25日
- 最新情報:シーズン2とスピンオフの制作中
原作『ブリジャートン家1 恋のたくらみは公爵と』
アメリカで1000万部売り上げたロマンス小説が原作です。
現代版ジェイン・オースティンと言われるジュリア・クインが贈る『ブリジャートン家シリーズ』の第1巻が、長女ダフネの物語でした。
本編に当たる全8巻と、後日譚の短編集1巻はいずれも邦訳されています。
兄妹8人の物語を1巻に1人ずつ描いており、ドラマも同じように1シーズンごとに兄妹が1人ずつ主役になっていきます。
1775年−1817年。イギリスを代表する女性作家。代表作は『高慢と偏見』『エマ』など。映画化された作品も多く、英国民に愛されている。
『ブリジャートン家』新装版が発売中です。
新装版の方の刊行はまだ3巻までですが、2021年12月10日に4巻、2022年1月8日に5巻が発売予定です。
ちなみに1巻がダフネ、2巻がアンソニー、3巻がベネディクト、4巻がコリン(ペネロペ)、5巻がエロイーズの物語になっています。
長女ダフネの恋を描くシーズン1の原作です
シーズン2の原作になる長男アンソニーの恋を描く第2巻です
次男ベネディクトの恋を描く第3巻です
主な登場人物とキャスト
ブリジャート家の長女。
女王陛下には「完ぺき」、レディ・ホイッスルダウンからは今年の社交シーズンにおける「ダイヤモンド」と書かれたダフネは喜びとプレッシャーの中、ついに社交会へ。
愛する夫との間に8人の子どもをもうけた母ヴァイオレットにあこがれている。母のような幸せな家庭を築きたいという思いと、自分の後に続く妹たちのためになんとしても良い結婚をしなければと考えている。
キャスト:フィービー・ディネヴァー
『Younger』のクレア役など多数。イギリスではテレビドラマに多く出演する俳優として知られている。アメリカの作品に出演するのは『ブリジャートン家』が初めて。
ヘイスティング公爵。
母親はサイモンを出産する際に亡くなる。子ども時代は吃音症だったため、完璧を求める冷酷(れいこく)な父親によって存在を隠されて育つ。父のような人間にならないためにも絶対に結婚しないと決めている。
キャスト:レジ=ジーン・ペイジ
『ROOTS/ルーツ』『For the People』になどに出演。イギリス人の父と、ジンバブエ人の母の間に生まれた4人兄弟の下から2番目。
ブリジャートン家の長男。
父の死後は家長になり、母ヴァイオレットと共に家族を支えて来た。
妹たちに良き夫を見つけることが自分の任務だと思っている。そして自分の親友でもあり、結婚する気のないサイモンが妹に近づくのだけは止めたいと考えるあまり、暴走気味。
オペラ歌手の恋人がいる。
キャスト:ジョナサン・ベイリー
デビューは舞台『クリスマスキャロル』で、7歳の時だった。『レオナルド』『ドクター・フー』『ジャック・ライアン』など出演。ミュージカルにも出演経験多数。
ブリジャートン家の次女。
結婚せずに自立した女性として生きていきたいと考えている。
本を読んだり日記を書くのが好き。結婚することばかり考えている姉とはぶつかることもあるが、基本的に姉妹の仲はいい。
キャスト:クローディア・ジェシー
『Lovesick』『ドクター・フー』などに出演。ベジタリアンの中でも特にストイックな「ビーガン」。肉、魚だけではなく卵やハチミツ、乳製品も食べません。
エロイーズの親友。
エロイーズの兄(三男)、コリンに密かに想いをよせている。
玉の輿を狙う母と姉2人の下で大人しくしているが、意外な一面を秘めているようで……。
キャスト:ニコラ・コクラン
『デリー・ガールズ〜アイルランド青春物語〜』のクレア役など。また、『ブリジャートン家』の視聴者である1人がTwitterで彼女を「デブ」と呼んだことに対して次のように回答している。
「できるだけ感じ良く言わせてもらうけどね、私はボディポジティブの活動家じゃなく、俳優よ。それが役作りに重要なら痩せもするし太りもする。私の体は私の物語を表現するためのツールであって、私を定義するものじゃないわ」
出典:https://twitter.com/nicolacoughlan
ドラマのナレーション役であり、ロンドンで最も有名なゴシップコラムニストでもある。
彼女の正体を知る者はいない。
令嬢もその母親たちも、レディ・ホイッスルダウンに自分がなんと書かれるかを非常に気にする。
ダフネも彼女に厳しいコメントをされたことで評判を落としてしまう。
女王陛下はレディ・ホイッスルダウンの正体を探るようエロイーズに命じるが……。
配信情報
現在、『ブリジャートン家』を配信している動画サービスはNetflixだけです。》》Netflix公式
配信状況や月額料金は変更される可能性がありますので、これから登録される方は必ず公式情報をご確認ください。
プラン | ベーシック | スタンダード | プレミアム |
---|---|---|---|
金額 | 990円 | 1,490円 | 1,980円 |
画質や、同時に視聴可能な画面数によってプランが変わります。
おすすめはスタンダードです。同時視聴は2画面まで、画質はHDなので大きな画面で見ても充分にきれいです。
感想
私はロマンス小説を読むのが好きなので、王道の展開をクオリティの高い映像で再現してくれたことに感動しました。
特に好きなシーンの1つは3話のサマセットハウスで絵画を鑑賞する2人です。
絶対にハッピーエンドとわかっている上で、傷つけ合ってしまう恋人たちを見てヤキモキするのは楽しいものです。
私自身はダフネに共感することはできませんでした。
エロイーズやペネロペは好きだけどまだちょっと幼い。母親たちや女王陛下もかっこいいとは思うけど、“共感“とは違う……。貴族の男性たちは、ぜんぜん違う。
……そう、共感したり寄りそったりできる人物は1人もいなかったのです。
ですが物語を楽しむことはできました。
アンソニーとシエラの関係、ペネロペとコリンとマリーナの関係、悩むエロイーズ、ダフネの結婚に至るまでのハプニングの数々。
ちょっと遠い世界で、どの人物にも入り込めない。
だけど観ているうちに自分も19世紀のロンドンにて、目の前でゴシップを観察しているような気持ちに……。
つまり、レディ・ホイッスルダウンになっていました。心の中のツッコミはいつしかナレーション風。
もちろん、共感できる人物を見つけられる視聴者も多いはずです。なんと言っても8200万世帯に視聴された作品ですから。
きびしい制約のある貴族社会でも、多様な人物、多様な生き方をする人たちが登場するので、多くの人が自分のお気に入りのキャラクターに出会えるドラマです。
まとめ
- 結婚してからが本番の、大人向けロマンスドラマ
- 衣装や舞台は美しいのも見どころ
- さまざまな人種の、さまざまな生き方を望む女性、男性が登場する
- 現在はNetflixで独占配信中
- 原作でシーズン2の先取りができる
Netflixの新着情報にブリジャートン家が追加されていました。いよいよシーズン2配信目前のようです!
シーズン1を観て新作配信に備えましょう!
シーズン2について詳しく知りたい方はこちら
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